県を代表するブランド野菜
「大口れんこん」
今や全国にファンがいる「大口れんこん」。クセがないのに味わい深く、どんな味付けとも合う万能野菜です。県下最大のレンコンの産地である長岡市中之島・上通地区では100年余り前から栽培を続けてきました。
かつて温泉と天然ガスが噴出したこの地で、沼地と豊富な地下水を利用して農産物を栽培できないかと試行錯誤を繰り返した末、レンコンの栽培が始まったと言われています。
栄養成分たっぷりの粘土質土壌では「エノモト(早生)」と「だるま(晩生)」、2つの品種が作られています。どちらも大口れんこんの名で流通していますが、エノモトは8月から10月、だるまは11月から3月と出荷時期が異なるのも特徴。
特に、在来品種であるだるまは、全国で唯一、長岡市でしか作られていないとても希少な品種です。台風の多いシーズンを耐え抜き、土の中でじっくりと育ったレンコンは特有の茶渋と肉厚で歯切れのいい食感で多くの人を魅了しています。
レンコン以外もおいしい
秋冬が旬の野菜たち
大口れんこんの出荷業務を担うJAにいがた南蒲で、地元野菜を多くの人に食べて欲しいと奮闘する2人の女性と出会いました。「取れたばかりのレンコンは集荷場で農家さんと一緒に仕分けをしています。
毎日連絡を取り合い、些細なことでも共有するよう心がけています」と入組3年、レンコンの出荷を担当する谷地美月さん。小さい頃から身近にあった長岡の野菜。大人になってその魅力を再発見したようです。
入組4年を迎えた林さつきさんは、管内3エリアで野菜の出荷を担当しています。「長岡はレンコンが有名ですが、里芋やネギ、小松菜もとってもおいしい。出荷量で県内一を誇るニラもおすすめです」。20代の若い力で、長岡のおいしい野菜が毎日県内、全国各地に出荷されていました。
通信販売で高評価!
今後の飛躍にも期待
100年以上の歴史を持つ大口れんこんですが、販売先は今なお県内が中心。この4,5年で売り上げが伸び、「煮ても黒くならない真っ白な断面が美しい」と、関西・東海地方を中心に人気を博しているようです。
2019年からスタートした無印良品公式サイトでの通信販売では、“新潟の隠れた名産”として紹介され、一層注目を浴びる機会となりました。日本のおいしい野菜として認知度が高まっています。
各地で話題となっている大口れんこん。その魅力を聞いてみると、谷地さんがある体験を教えてくれました。「れんこん生産組合さんの計らいで、大口れんこんを生で食べたことがありました。梨のようにシャキシャキして甘く、衝撃的なおいしさで。あの感動は今でも忘れられません」
生で食べられるのは8月初旬の収穫で取れたばかりのもの限定という、生産者ならではの食べ方。この貴重な経験談から、大口れんこんの可能性とさらなる飛躍に期待が高まります。
お話を聞いた方
JAにいがた南蒲 園芸特産課 林 さつきさん(左) / 谷地 美月さん(右)