100種以上水揚げされる
海の幸いっぱいの寺泊
「魚の市場通り」がある長岡市寺泊エリアは多彩な魚介類が獲れる港町。おいしい海の幸を求めて、全国各地から多くの観光客が訪れます。水揚げされる魚介類について、寺泊漁業協同組合(以下、寺泊漁協)の平松要介さん、栗田哲也さんにお話をうかがいました。
「日本海と信濃川が交差する寺泊地域では、大衆魚から高級魚まで年間100種以上の魚介類が獲れます。海の魚だけでなく川魚も獲れるのは寺泊ならでは(平松)」
海水と淡水が交ざり合う汽水域である寺泊では、春はヒラメやアジ、幻の高級魚と呼ばれるサクラマス、夏は真ダイ、スズキのほか、サザエ、牡蠣、もずく。秋はノドグロ、冬は真鱈やズワイガニなど、バラエティー豊かに水揚げされます。日本海を眺めながら旬を味わってみてはいかがでしょうか。
魚の鮮度を保つ
神経〆「寺神」がすごい
獲れたての魚が一番おいしい……というのは昔の話。生きた魚を脳死状態にすることで魚の新鮮さ、おいしさを長時間維持できる神経〆という技法があります。「寺泊漁協では以前から神経〆を取り入れていましたが、その違いや魅力をうまく伝えられず…。そこで2020年春から『寺神』のタグを付け、ブランド化することにしました。(平松)」
寺神の称号を得た魚は鮮度が保たれ、旨みが増します。寺泊漁協による検証では、神経〆から14日経過したタイも臭みを感じず、おいしく食べられたというのだから驚きです。
「技術や品質を統一するため、神経〆を行うのは漁師ではなく私たち職員のみ。品質にブレがないようにしています。寺神の販売は市場販売が中心ですが、生産数が少なく、市場に出回る数が少ないため、飲食店などで見つけたらとてもラッキーです。見かけたら迷わず食べてみてください(栗田)」
ふるさと納税の返礼品としても喜ばれている寺神。そのおいしさで、長岡・寺泊の魅力を広く発信しています。
寺泊の海を未来へつなげるために
稚魚の育成・放流も
寺泊漁協が創業したのは昭和24(1949)年。遠浅の海では刺し網漁を中心に、素潜り漁やごち網漁、定置網漁など、さまざまな手法で漁が行われてきましたが、長い歴史の中、先人たちから受け継がれてきたのは魚を獲ることだけではないようです。
「魚や貝類を育てるのも創業当時からの役目。寺泊漁協ではサケやヒラメの稚魚、サザエの母貝などを放流しています。大きく育って、未来につながればうれしいです(平松)」
寺泊の魚介類がこれからも愛され続けるように、海・川の環境保全にも日々取り組んでいます。
お話を聞いた方
寺泊漁業協同組合 参事 栗田 哲也さん(左) / 平松 要介さん(右)