春夏に旬を迎える
枝豆・かぐら南蛮
定番品から地域特有のものまで、1年を通してさまざまな野菜が育てられる長岡。農作物の栽培から販売まで担うJA越後ながおかの神林孝之さんにお話をうかがいました。JA越後ながおかでは、枝豆、里芋、長ネギを主力に、長岡市山古志のブランド野菜・かぐら南蛮や、梨ナス、キャベツなどを出荷しています。
「信濃川が生み出す肥沃な土壌と夏の高温多湿。そして、冬の豪雪。過酷な環境下で育てられた長岡の野菜はおいしいものばかり。春・夏のおすすめは枝豆とかぐら南蛮です。6月中旬から10月上旬まで11品種が出荷される枝豆は、時期ごとに風味が異なります。かぐら南蛮は長岡市に古くから伝わる地域野菜。長岡特有の味をぜひ味わってみてください」
実は、枝豆の栽培面積、消費量で日本一を誇る新潟県。2016年からは長岡で「EDAMAME FESTA/世界えだまめ早食い選手権」も行われるようになり、“枝豆王国”として話題を呼んでいます。「みんなで枝豆を一番楽しむ日」をテーマに、全国、海外からも参加者が訪れ、長岡市民の枝豆愛を実感できるイベントです。
秋まで楽しめる
個性豊かな長岡の枝豆
県内では、春の弥彦むすめ、夏の新潟茶豆が一般的ですが、長岡は品種によって少しずつ収穫時期が異なり、約半年という長い期間、枝豆を食べられるのが特徴です。7月中旬頃は初だるま、陽恵(ようけい)、おつな姫。7月下旬の湯あがり娘に、下旬から8月上旬の新潟系14号。8月上旬から中旬は新潟茶豆、下旬に晩酌5号。9月上旬につきみ娘、上旬から中旬に雪音、そして、9月下旬に越一寸(一寸法師から2020年春改名)、下旬から10月上旬に肴豆と、リレー形式で出荷されます。夏の品種は甘みが強く、秋の品種は旨みが増しているそうです。
なぜ長岡の枝豆はこんなにも多くの人を魅了するのか。神林さんにその秘密を聞いてみると「わざと小ぶりなうちに収穫している」とのこと。枝豆は、小ぶりな時期に甘み・香りが強くなるため、最もおいしい状態で収穫が行われていました。
収穫1週間前には食味を向上させるための追肥を。収穫後は速やかに品温を5℃まで下げ、鮮度管理も徹底しています。
連綿と受け継がれてきた
山古志のかぐら南蛮
トウガラシ類に属し、栽培法はピーマンやシシトウと同じかぐら南蛮。露地栽培で草丈は1mから1.2mまで伸び、8月から9月にかけて収穫を迎えます。ピーマンを上から押したような果実の形状で、神楽に登場する獅子舞に似てゴツゴツしていることからその名が付けられました。
市販のかぐら南蛮には長岡市山古志産のほか、魚沼市、上越市と主に3つの産地がありますが、起源は山古志にあります。その昔、信濃川沿いに栽培法が広がり、各地に浸透していったと言われています。
同じ苗でも山古志で作ったものは爽快な辛みが強くなり、おいしく育つ。JA越後ながおかの長年の経験からも、山古志がかぐら南蛮の栽培適地であることが確認されています。
「さまざまな料理に応用できますが、一番おいしいのはやっぱりかぐら南蛮みそ。辛みの強い綿の量で辛さを調節できるので、お好みの量で作ってみてください。みじん切りにしたかぐら南蛮をフライパンで炒め、みそと混ぜるだけと、とっても簡単です。
ちなみに、かぐら南蛮は素手で調理すると手がヒリヒリしてくるので、調理用手袋の用意もお忘れなく」
お話を聞いた方
JA越後ながおか 園芸特産課 係長 神林 孝之さん